
「昨日発の私がまだ来ない」
LYRICS
駅のホームに 昨日の自分が立っている
同じ靴で 同じ顔をして
でも目の奥だけ 少し古くて
乗り遅れた朝を 抱えていた
昨日の私は 改札のほうを
ずっと見つめて 動かない
忘れてきた傘を 待つみたいに
終わった時間を 探している
駅のホームに 昨日の自分が立っている
声をかけたら 崩れそうだった
大丈夫だったと 言いたいのに
今日の私も まだ大丈夫じゃない
駅のホームに 昨日の自分が立っている
発車ベルだけ やけに明るい
進んでください 下がってください
心の位置だけ 案内されない
昨日の私は スマホを握り
送れなかった 言葉を見てる
画面の中で 止まった指が
今の私に 少し似ていた
電車が来るたび 風が吹いて
二人の髪を 同時に揺らす
同じ人間が 同じホームで
違う後悔を 並べていた
駅のホームに 昨日の自分が立っている
追い越すことも 置いてくことも
どちらも少し ひどい気がして
私は隣に 立ってしまった
駅のホームに 昨日の自分が立っている
次の電車を 待つふりをして
本当は昨日が 発車するのを
ただ見届けに 来ただけだった
言えなかったこと できなかったこと
笑えなかった 帰り道
昨日の私は それを全部
透明な荷物に 詰めていた
持っていくよと 手を伸ばしたら
昨日の私は 首を振った
これはあなたの 忘れ物じゃない
私がここで 降ろすものだと
やがて各駅停車が 入ってきて
昨日の私が 一歩を出した
行き先表示は 読めなかったけど
たぶん戻れない 場所だった
駅のホームに 昨日の自分が立っている
そう思っていたのは 私だけで
電車の窓に 映った顔は
今日の私と 重なっていた
ドアが閉まって ベルが止まる
昨日を乗せて 電車が出る
ホームに残った 私の足元へ
朝の光が 少し落ちた
駅のホームに 昨日の自分が立っていた
もうそこには 誰もいない
置いていくとは 違う形で
私は今日へ 歩き出した