「世界が裏返っても」
LYRICS
透明な朝を噛んだら
奥歯から夜がこぼれた
誰にも見つからないように
空へ埋めた
昨日の影が孵化して
知らない鳥になっている
翼の裏には
僕が選ばなかった季節
ひとつ ふたつ
数えるたびに
指が遠くなる
名前を呼ぼうとして
名前だけが
先に振り向いた
海を知らない舟が
ずっと溺れている
沈めないことを
救いと呼びながら
世界の裏側で
誰かが静かに糸を切った
空が落ちる
花が逃げる
僕の輪郭だけが
そこに残る
どうして
失くしたものほど
こんなに僕に似ているんだ
拾わなかった光ばかり
いまも
足元を照らしている
時計の骨を折った夜
時間は少しだけ
優しくなった
昨日と明日の隙間から
白い魚が泳いでくる
口を開くたび
言えなかった言葉が
泡になって昇っていく
空なのに
どうして
こんなに深い
咲かなかった種を
土だけが覚えている
何者にもならなかった僕を
誰が
失敗と決めたんだろう
世界の裏側で
またひとつ糸が切れた
海が浮かぶ
鳥が沈む
正しさだけが
取り残される
それなら
間違えたままでいい
選ばなかった道まで
僕の人生だったなら
この傷も
遠回りも
捨てなくていい
雨の中に雨が降る
その中にも
小さな雨が降る
僕の中に僕がいて
その奥で
まだ知らない僕が
ずっと
出口を描いている
出口なんて
なかったのかもしれない
だから
壁ごと連れていく
世界が裏返っても
僕は表を探さない
空を泳ぐ魚にも
沈んでいく鳥にも
名前はいらない
意味もいらない
ただ
ここにいたことだけ
消さないでくれ
選ばなかった未来たちが
遠くで静かに光っている
届かなくていい
あれはきっと
僕がここまで歩いてきたことを
忘れないための
星ではない何かだ
透明な朝を吐き出した
夜はもう
どこにもなかった
それでも口の中には
少しだけ
暗闇の味がした
LINER NOTES
🎵 作曲:日向野聡一郎 より
Glitchでカッコいい風にするのは避けたかったんだけど、世界観としてGlitchが欲しくなって我慢出来ませんでした… 久しぶりにスキャットも入れました