「ただいま神域は電話に出られません」
LYRICS
神様の留守電に 愚痴を吹き込む
発信音だけ やけに清らか
ただいま神域は 電話に出られません
その声だけで 少し腹が立つ
お賽銭なら 入れたんですけど
願いの進捗 どうなってますか
折り返し先は この胸の奥
だいぶ前から 圏外です
神様の留守電に 愚痴を吹き込む
今日も理不尽が 多すぎました
悪いことなど してないはずが
罰だけ先に 届いています
神様の留守電に 愚痴を吹き込む
ピーという音が 救いに似てた
誰にも言えない 情けない声を
雲の上まで 送信した
お願いごとの 受付番号
控える前に 風で飛んだ
順番待ちの 人生たちが
鳥居の外まで 列をつくる
天罰じゃなくて 仕様ですか
試練という名の 不具合ですか
問い合わせ先が どこにもなくて
夜の天井を にらんでいた
神様の留守電に 愚痴を吹き込む
泣き言ばかりで すみません
でも強くなれって 言うのなら
まずは説明書を くださいよ
神様の留守電に 愚痴を吹き込む
ご利益なんか 後でいいから
せめて明日の 起きる理由を
一行だけでも 返信して
沈黙ばかりが 返ってくる
それを答えと 呼ぶ人もいる
私はそんなに 物分かりよく
空の青さを 許せなかった
録音時間が 残りわずかで
急に言葉が こぼれ出した
本当はまだ 助かりたいです
そう言う声だけ 小さくなった
神様の留守電に 愚痴を吹き込む
切るに切れずに 息をする
救われたいと 言うのも悔しく
救われないのも もっと悔しい
神様の留守電に 愚痴を吹き込む
最後に少し 黙ってみた
すると遠くで 風鈴みたいに
自分の鼓動が 鳴っていた
メッセージを 保存しました
機械の声が 夜に落ちる
返事はなくて 奇跡もなくて
それでも少し 軽くなった
翌朝ポストに 何もなかった
空は普通に 晴れていた
神様からの 折り返しより
私の足が 先に動いた
LINER NOTES
🎵 作曲:✎ ℛ𝑜𝓇𝓎 𝕄.. ೃ⁀➷♡ より
🎼世界観散文 消灯したままの部屋で、仰向けになって天井をにらむ。耳に当てた電話は一度も呼び出し音を鳴らさず、妙に澄んだ発信音のあとで、丁寧すぎる不在の案内だけを繰り返した。 愚痴は思ったより滑らかに出た。お賽銭を入れた日のこと、今日の理不尽、身に覚えのない罰のこと。言いながら少し笑ってしまうのが、自分でも可笑しかった。 録音の残りが少なくなった頃、口が勝手に本音をこぼした。まだ助かりたい。その一言だけ声が細くなり、黙ってみると、胸の奥で自分の鼓動が遠い風鈴のように鳴っていた。 翌朝、ポストは空っぽで、空は拍子抜けするほど普通に晴れていた。返事を待つのはやめにして、彼女は玄関のドアを押した。