
「原本だけが退勤できない」
LYRICS
コピー機から 偽物の自分が増殖する
昼休み前の 事務室の隅
紙詰まりかと 覗き込んだら
私の顔が 次々出てきた
一枚目の私は 愛想がよくて
二枚目の私は 返事が早い
三枚目なんて 残業できます
そんなことまで 勝手に言った
コピー機から 偽物の自分が増殖する
原稿台には 心を置いた
まぶしい光が 横切るたびに
薄い私が 量産された
コピー機から 偽物の自分が増殖する
トナーの匂いで 朝がにじむ
本物よりも 扱いやすい
私ばかりが 束になってく
会議用なら こちらでどうぞ
謝罪用なら 少し濃いめで
笑顔の濃度を 調整されて
ホチキス留めの 私が配られる
上司の机に コピーが並ぶ
便利ですねと 誰かが笑う
本物の私は 給湯室で
紙コップみたいに 黙っていた
コピー機から 偽物の自分が増殖する
疲れた顔だけ かすれている
それでも誰も 気づかないから
少し悔しくて 少し楽だった
コピー機から 偽物の自分が増殖する
全部任せて 逃げたいけれど
偽物たちは 優秀すぎて
私の席まで 奪いに来る
一番きれいな 私が言った
あなたは原本に 向いてませんね
白黒のくせに 胸の奥まで
勝手に判定 しないでほしい
コピー用紙の 山に埋もれて
私はそっと 息を数えた
同じ形に 見える私も
傷の位置だけ 全部違った
コピー機から 偽物の自分が増殖する
でも原本だけが 少し曲がってる
その曲がり方が 私なのだと
排紙口の風が 教えてくれた
コピー機から 偽物の自分が増殖する
薄い私に 負けたくなくて
濃度ボタンを 押す代わりに
自分の声を 少し強めた
退勤前には コピーの私が
机の上で 静かになった
束ねてみたら 軽すぎたから
本物の重さを やっと知った
コピー機から 偽物の自分が増殖しても
原本は一枚 ここにある
しわも汚れも 消えないままで
私は私を 持って帰る
LINER NOTES
🎵 作曲:ダヤム より
すいません。ノリノリで作成してたらコンセプト変わったので戻しました。