「無音絶縁区」
LYRICS
街の音が消えていく 夜の底の静けさで
インクの染みが滲む 白い紙の冷たさ
声を持たない僕たちは 喉の奥のざらめきを
細い指先と わずかな視線だけに預けた
電子の光なんてない この世界の隅っこで
君が落としたまばたきの意味を 幾晩も数えてる
風がページをめくる音だけが 唯一の鼓動の代わり
届かない 届かない ならば文字にしよう
消えないよ 消えないよ この指の熱を
網の目のない宙をただ這って
君の胸のざわめきに 触れて 壊して
便利すぎる嘘もない 軽い愛の歌もない
文字はただ重く 身体はただ正直で
一通の手紙が届くまで 二人の季節が変わる
その残酷なほどの遅さが 僕らを繋ぐすべてだった
届かない 届かない ならば文字にしよう
消えないよ 消えないよ この指の熱を
網の目のない宙をただ這って
君の胸のざわめきに 触れて 壊して
目を伏せるその角度で 拒絶だと知る夜に
言葉よりも深い場所で 切り裂かれるような熱を覚える
冷たいインクの染みじゃなく 僕の皮膚の摩耗で君を抱く
届かない 届かない ならば文字にしよう
消えないよ 消えないよ この指の熱を
網の目のない宙をただ這って
君の胸のざわめきに 触れて 壊して
もしもこの世界にすべてを繋ぐ蜘蛛の巣がなくて
ただ風と紙と壁の染みしかなくても
僕は君の名前を 一文字ずつ血を滲ませて彫り続ける
音のない街の真ん中で 永遠に響くほど強く
LINER NOTES
✍️ 作詞:にゅ〜らるP より
声も電波もインターネットもない静寂の世界を舞台に、手紙のインクと肉体の摩擦だけで繋がりを渇望する人間を描いたディストピア・ラブソング。効率やスピードがすべてを支配する現代に対するアンチテーゼ作品。
🎵 作曲:✎ ℛ𝑜𝓇𝓎 𝕄.. ೃ⁀➷♡ より
インクでも手紙でもなく、「摩耗」という一語で、この歌は急に体温を持ちはじめる。冷たい染みの代わりに、すり減っていく皮膚で相手を抱くという。その直後、歌はもう一度サビへ戻り、最後に、何も無い世界でも名前を刻み続けると言い切る。