「幽霊と家賃を折半する」
LYRICS
幽霊と家賃を 折半している
二人入居可の 古い部屋で
私は銀行 君は冥界
振込名義が 毎月もめる
壁から半分 顔を出す君
その面積だけ 払ってほしい
身体がないから 面積もないと
六畳全部を 私に寄せる
幽霊と家賃を 折半している
光熱費なら ほぼ私持ち
電気を消しても 君だけ白く
節電という字が 床へ倒れる
幽霊と家賃を 折半している
取り立ての日だけ 成仏したふり
呼んでも返事が ないくせに
深夜二時には 食器を鳴らす
冷蔵庫には プリンがふたつ
ひとつは君の 供え物らしい
賞味期限が 切れた頃には
前の住人が 食べに来ていた
風呂場の鏡が 曇った夜に
知らない指で 家賃と書かれ
その下に小さく 来月からは
管理費込みでと 追加された
幽霊と家賃を 折半している
印鑑がないと 君は笑った
指紋も住所も 死因もないが
口だけ妙に 契約に強い
幽霊と家賃を 折半している
寝室だけは 譲り合わない
君は天井で 逆さに眠り
私は真下で 夢を滞納
友達を部屋へ 呼んだ日だけ
急に君は 人見知りになる
誰もいないねと 言われた瞬間
カーテンレールが 深くうなずく
更新時期には 君も悩んだ
この世に残るか 引っ越すのか
事故物件なら 次も安いと
物件サイトを 壁からのぞく
幽霊と家賃を 折半している
孤独も半分に なると思った
でも寂しさだけ 二人分あり
夜の廊下で 順番を待つ
幽霊と家賃を 折半している
君が消えたら 困る気もする
話し相手が 欲しいのではなく
家賃の半分を 失いたくない
ある朝ポストに 封筒があり
君の名前で 退去届が出た
相談くらいは してほしかった
死んだ時よりも 腹が立った
幽霊と家賃を 折半していた
空いた押し入れ 妙に広くて
今月分だけ 置かれた硬貨
全部どこかの 古銭だった
敷金だけが まだ戻らない
君も戻らず 春だけが来る
二人入居可の 札を見ながら
私は一人で 半額を待つ
LINER NOTES
🎵 作曲:うみぱんKaz より
唯一無二のルームメイト( ˙꒳˙ )