「トースターで思い出を焼き直す」
LYRICS
トースターで 思い出を焼き直す
冷めた朝だけ 皿に乗せて
焦げ目のついた 君の言葉を
もう一度だけ 温めてみた
パンくずみたいに 残った日々が
銀の網の上で 小さく跳ねる
捨てたつもりの やさしい声が
熱を持つたび 匂い出す
トースターで 思い出を焼き直す
戻るわけないと 知っているのに
焼ける音だけ 少し似ていて
あの日の台所を 連れてくる
トースターで 思い出を焼き直す
食べきれなかった 恋の端
サクサクなのに 胸に刺さって
噛めば噛むほど 苦くなる
マーガリンなら 隠せたかもね
甘いジャムなら ごまかせたかも
だけどそのまま 焼いたせいで
焦げた本音が 黒く浮いた
君と分けた 安い食パン
半分ずつが 嬉しかった
今は一枚 焼くだけなのに
皿の余白が 広すぎる
トースターで 思い出を焼き直す
二度目の熱で 形が変わる
きれいだった日も 端から焦げて
私の指に すすがついた
トースターで 思い出を焼き直す
保存できない 朝ばかり
焼きたてみたいな 顔をしても
中は昨日の ままだった
忘れたいなら 捨てればいいと
誰かはきっと 簡単に言う
でもゴミ袋に 入らないほど
小さな場面が 残っている
焦げたところを 削りながら
私は何を 守ったのだろう
食べられる部分を 探す癖だけ
別れたあとも 抜けなかった
トースターで 思い出を焼き直す
もう一度だけ 香ばしくして
笑える過去に できるかなんて
情けないほど 信じていた
トースターで 思い出を焼き直す
けれど君には 戻らない
熱が冷めたら わかってしまう
これは朝食じゃ なくて未練だ
最後の一口 残したままで
焦げた匂いが 部屋に沈む
思い出なんて 焼き直すほど
元の味から 遠ざかってく
LINER NOTES
🎵 作曲:✎ ℛ𝑜𝓇𝓎 𝕄.. ೃ⁀➷♡ より
表面は切断、中身は昨日のまま。同じ小節でリズムだけが断ち切られ、歌とローズは切れ目なく流れ続ける。矛盾を揃えずに置いたまま、ラスサビは大きくならず、遠くなる。未練の輪郭を距離で描いた一曲