「保温ランプだけが家出を知っている」
LYRICS
反抗期の炊飯器が 米を炊かない
予約ボタンだけ 赤く黙った
朝の台所 湯気も立たずに
白い米粒が 座り込んでる
昨日まではまだ 素直だったのに
今日は内釜を 見せてくれない
しゃもじを持って 話しかけても
保温ランプが そっぽを向いた
反抗期の炊飯器が 米を炊かない
水加減よりも 距離感らしい
ちゃんとしてよと 言えば言うほど
ピーとも鳴らずに 意地を張る
反抗期の炊飯器が 米を炊かない
家族会議は 午前七時
弁当箱だけ 口を開けて
何も詰まらず 空を見ている
母は説明書を 逆さに読んで
父は黙って コンセントを見る
私はなぜか 謝りたくなり
昨日の残りを 皿に移した
炊飯器にも あるのだろうか
白く炊けない 朝の気持ち
毎日同じ 米を抱えて
同じ結末を 求められること
反抗期の炊飯器が 米を炊かない
無洗米にも 心はあるか
炊き上がりまで あと五分のまま
時間表示が 大人を拒む
反抗期の炊飯器が 米を炊かない
焦げつく前に 黙っている
炊けと言われて 炊けるくらいなら
たぶん反抗期に なっていない
内釜の底に 小さな宇宙
米粒たちは 旗を立てる
今日こそ粥には ならないぞと
銀の壁から 声がした
怒っているのか 疲れたのか
それともただの 故障なのか
区別できない 私たちは
優しさみたいに 蓋を閉めた
反抗期の炊飯器が 米を炊かない
それでも誰も 捨てられない
炊けない朝を 囲んでいたら
なぜか少しだけ 家族だった
反抗期の炊飯器が 米を炊かない
白い沈黙が 湯気になる
食べられないまま 残った米を
今日は責めずに 水へ浸した
夜になったら 炊飯器はまだ
台所の隅で 黙っていた
おかえりなんて 変だけれど
保温ランプが 少し光った
LINER NOTES
🎵 作曲:うみぱんKaz より
炊飯器と家出を組み合わせる発想にめちゃくちゃ脱帽ですわ( *´艸`)